豊胸術を調べていると「痩せ型の人は豊胸できない」などと記載されていることがあります。痩せ型だと豊胸できないのでしょうか?
「痩せ型は豊胸できない」といわれる理由やバストアップできるサイズ、不自然なバストアップではなく、痩せ型の人に向いている豊胸術について紹介します。痩せ型だからといって、諦める必要はありません。
バストのボリュームは脂肪の量で決まります。豊胸術では、脂肪の代わりにシリコンバッグや脂肪、ヒアルロン酸などの注入物を入れたり、育てたりしてバストアップさせます。
痩せ型の人が豊胸するのは難しい理由は、いくつかあります。
脂肪注入では患者様ご自身の脂肪を採取してバストに注入します。吸引した脂肪はそのままの量が使えるわけでなく、遠心分離して不純物を除き、細かくしてからバストに注入します。そのため、注入量のおおよそ倍量を吸引する必要があります。
脚の付け根や臍、太ももの内側、お尻の頂点などから採取しますが、痩せ型の人は余分な脂肪がついていません。必然的に脂肪採取量が限られ、注入できる量も限られます。
また、脂肪豊胸にはBMI(体格指数)による脂肪採取基準があります。
BMI=体重kg÷身長m÷身長m>18
ただし、部位によっても脂肪のつき方が異なるため、BMI>18でなくても豊胸術の適応となることはあります。
痩せ型の人が脂肪吸引をすると、吸引部の凸凹が目立つことがあります。
脂肪吸引後6か月経っても凸凹しているのは、脂肪の下にある筋肉の表面の凸凹を無視した吸引方法が原因です。脂肪が少ないのに取り過ぎてしまうことで凸凹が目立つ場合、凸凹部分を超音波で溶かすなどして修正が必要になります。更に凹みが激しい部分には「脂肪注入」が必要になる事もあり、本末転倒な結果になります。
なお、脂肪吸引のダウンタイムには皮膚が硬くなる症状があらわれることがあります。吸引量が多いと症状が強く出る可能性がありますが、回復過程の正常な反応なので、術後1カ月~半年程度で自然に治まります。
脂肪注入や血液豊胸の場合、同じ注入量でも、皮膚の伸縮性が悪いとバストアップ効果が下がります。極端に痩せ型の人は、皮膚の栄養や水分が不足しており、弾力に乏しいことがあります。豊胸をしても皮膚が伸びないと、注入物を圧迫します。定着前の脂肪が圧迫されると、血流が妨げられて壊死してしまうことがあり、定着しづらくなります。
痩せ型の人もシリコンバッグによる豊胸はできます。ただし、バッグを覆う脂肪が無いと、シリコンバッグの形が浮き上がって目立ってしまいます。 シリコンバッグ挿入法は、脇やアンダーバストを平均3~4cm(サイズによる)切り、シリコンバッグを乳腺下や大胸筋下に挿入する方法。バストにある程度の脂肪があればシリコンバッグの形を覆ってくれますが、痩せ型だと十分に覆うことができない可能性があります。また、触ったときにも脂肪が少ないためにシリコンの硬さが伝わりやすくなります。
豊胸術ごとに、バストアップできるサイズは異なります。以下に、術式ごとに可能なサイズアップの目安を記載しました。バスト1カップは100㏄が目安となります。
l シリコンバッグ挿入術:2~3カップ
l ヒアルロン酸:1~1.5カップ/1カップサイズアップするのに100㏄の製剤が必要
l 脂肪注入:1~2カップ/1サイズアップするのに200㏄の脂肪が必要
l 血液豊胸:1~2カップ/1カップサイズアップするのに200㏄の血液が必要
痩せ型の人は、シリコンバッグでバストを大きくすることは可能ですが、大きくするほどバッグの形が浮き上がるリスクがあります。その他の注入系の治療の場合、1~2カップまでが目安ですが、必要な脂肪や血液が採取できなければ、サイズアップは難しいでしょう。ヒアルロン酸は一度に沢山注入すると「しこり」になるリスクがあります。注入系の豊胸術で大きくサイズアップしたい場合、1回ではなく複数回に分けて施術を受けましょう。
注入系の豊胸術のポイントは「定着率を上げること」。バストの皮膚の伸縮性が悪い場合、吸引等でバスト内にスペースを作っておくと、定着しやすくなります。
シリコンバッグ豊胸や脂肪注入による豊胸では、痩せ型の人にはデメリットがあります。
ヒアルロン酸注入による豊胸は、気になるところにヒアルロン酸を注射するだけで手軽ですが、時間経過とともに吸収されてしまうため、繰り返しの治療が必要になります。
脂肪注入による豊胸の定着率は、20〜50%が吸収され、残りの生着した分は半永久的とされています。見た目は3か月程度で落ち着き、定着完了までは6か月~1年程度が目安です。
PRP療法やPPP療法は、ご自身の血液を採取して血小板の量を調整し、ジェル状に加工したものをバストに注入し、バストを成長させます。血小板の働きは「成長因子を出す作用」と「凝固作用」。血小板が多く含まれる血漿を使用するPRP療法はしこりのリスクがあり、血小板を減らしたPPP療法は定着率が悪いというデメリットがあります。
ゼロクリニックの血液豊胸は、ご自身の血液を採取し、血小板を徹底的に除いたうえで、成長因子や栄養剤などをブレンドし、バストの脂肪組織に注入します。しこりのリスクを排除しながら、バストを成長させる取り組みを研究しており、効果は半永久的ですに近いものになります。定着しやすいよう「カップ吸引固定」で皮膚を伸ばしてスペースを作る試みや、より弾力性に富んだ柔らかく美しいバストラインをつくるための「バウンド強化EMS」などもご用意しています。
「痩せ型は豊胸できない」といわれる理由は、「脂肪注入の場合、十分な脂肪吸引ができない、脂肪吸引部の凸凹が目立つ」「バストの皮膚の伸縮性が悪い」「シリコンバッグの形が浮き上がる」から。豊胸術ごとにバストアップできるサイズは異なり1~3カップ程度ですが、痩せ型の人がサイズアップを図るには「定着率を上げること」「注入スペースを確保すること」が課題です。ヒアルロン酸やPPP/PRP療法もありますが、定着率の点では血液豊胸がおすすめです。痩せ型の人でも綺麗に仕上がります。
2003年 兵庫医科大学を卒業
2003年 大阪市立大学附属病院 勤務
2005年 大手美容外科 勤務
2019年 銀座ゼロクリニック 開業
<所属学会>
日本乳癌学会 会員
日本乳房オンコプラスティックサージャリー学会 会員